第6章

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「僕、行かなくちゃ」 「え?」 「テヨンのとこ、行くわ」 この際、金で済む話なら 有り金全部叩いても構わない。 弄ばれていようが 金蔓だと思われていようが 僕はただテヨンに会いたかった。 会って昨夜みたいな時間が過ごしたかった。 中毒だ――。 「おい、タクヤ!」 僕はふらつく足取りで立ち上がると コートと伝票を手にして友人に敬礼した。 「行ってまいります」 そうして転がるように路上に出ると 「ちょっと!」 「すみません、急ぐんで」 思い切り割り込んでタクシーを捕まえた。 「新大久保のクムって店まで行って。大急ぎで――」
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