恋も愛も

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「なんだよ、騒がしいな」 涼し気な様子でビールを飲む橘に、思わず私はにじり寄った。 「二人分ってなんなの?!道理で仕事によってやり方がまちまちだと思った!」 「そりゃ、違う人間がやってたからな」 「先に言いなさいよ!」 「言ったところで変わらんだろ」 案件毎にまとめられたわずかな資料はあったのだが、その資料もクセが強くなかなか要領を得ないものだった。 しかもそのクセが資料によって違う。 内容を理解するのも大変だし、今までのやり方をガラッと変えるにはクライアントとの打ち合わせも必須になる。 そのおかげで通常なら1日で終わるような案件も、1週間程かかってしまうという悲しい悪循環。 「前の人はどんなやり方してたのよ...効率悪すぎてイライラするわ」 「仕事出来ないって理由で配置換えされたんだから、当然だな」 「ダメだ...頭痛い...」 「飲みすぎか?」 なんでよ!話の流れでわかれよ! いや、わかってて言ってるな…。
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