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「なによ、急に。会ってないけど」
「ふぅん...連絡もないのか?」
縁からの連絡なら幾度となくあった。
きっと連絡が増えるだろうとは思っていた。
今までの経験上、別れたばかりの縁は必ず頻繁に連絡してきていたから。
何度もコールを知らせるスマホを手に取ろうとしてはやめた。
縁の寂しさを思うと、ひどい友達だと思いもした。
けれどあの夜が、私を繋ぎとめていた。
またあんな事になってしまったら、もしあの時のことを面と向かって聞かれたりしたら、私はもう縁に2度と会うことは出来ない。
そんな気がして怖かった。
「なんだ、結局まだ引き摺ってるのか」
「引き摺るって...振られることもできてないんだから」
「わかってるなら砕けてこい」
「勝手なこと言わないで」
あっけらかんと背中を無責任に押す橘に、苛立ちが募る。
昔ならこんな風に口を出してきたりしなかったと言うのに。
「お前があんまりにものほほんとしてるからムカついた」
「のほほんて何よ、のほほんて」
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