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「湊とオレの関係が変わったあの日の事」
「...今更何も話すことなんてない」
忘れて欲しかった。全て綺麗に忘れて欲しかったのに。
私だけが覚えていればいいことだって、そう思っていたのに。
やはり神様は、そんな勝手な願いは叶えてくれなかった。
「あの時は本当にごめん...オレ湊に甘えて酷いことを...」
泣き出すんじゃないかと思うほど弱々しい声で謝罪され、私は恥ずかしさにこのまま消えてしまいたい気持ちになる。
「やめて...言ったじゃない。私はただ経験したかっただけだって」
強がって笑って見せても、縁はちっとも笑顔を見せてはくれない。
「やめてくれよ、そんな風に言うな。お前がそんな女じゃない事、オレが一番分かってる」
私の強がりは何ひとつ縁の心を楽になんてさせていなかったのだと思い知る。
それどころか、きっと縁の心を抉るものだったのだ。
「ごめん...縁がそうやって自分を責めるって分かってたのに」
「ちがう!オレが間違ったって言ったのはそんな事じゃない!」
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