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さっきまでの弱々しさはどこへ行ったのか、縁は私の手をぎゅっと握って真っ直ぐに見つめてきた。
「縁?」
「違うんだ。オレが間違ったって言ったのは...順番の話で」
「順番?」
苛立つように呟く縁に、私は頭が混乱する。
一体なんの話をしているんだろう。
「ちゃんと伝えるべきだった。湊とずっと一緒に居たいのは、本当は寂しいからなんかじゃないって。湊が好きで誰にも渡したくないからだって」
「嘘.....でしょ?」
待ち望んでいたはずの切なげな縁の告白も、長年の片想いでひねくれまくった私には素直に届かない。
きっと責任感がそう言わせているんだと、悲しくなるだけ。
「嘘なんかじゃない!甘えてたんだお前に...湊ならどんなオレでも側にいてくれるんじゃないかって」
縁が私を好き?そんな事ある?
あの日だって彼女に振られたと落ち込んでいたじゃない。
何がどうなればこんな事になるって言うの?
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