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わんわん泣いてる私のあたまを、カイさんはずっと撫でてくれている。
落ち着くと、机の上のティッシュを数枚、渡してくれた。
「それで。
病院はどこだ?」
「あっ、そういえば、今日はもう帰るって」
「帰る?」
携帯を操作してメッセージの画面を出すと、カイさんにひったくられた。
お母さんからのメッセージを確認すると、カイさんははぁっとため息をついた。
「踏み外した、今日はもう帰る、だろ。
きっと大した怪我じゃない」
「でも……」
「なんだ、医者の言うことが信じられないのか」
カイさんが大きな手で眼鏡全体を覆うように掴んで押し上げると、レンズが得意げにきらりと光った。
なんだかそれがおかしくて、さっきまでの不安が消し飛んでいく。
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