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「あちっ」
跳ねた油でやけどした腕ににんまり。
痛みも忘れて鼻歌交じりに残りの料理をしてしまう。
多めに作った煮物の一部はタッパヘ。
それを適当な袋に入れて家を出る。
近くの個人病院に行くともう閉まってた。
でも、迷うことなく裏に回る。
「カイさん、やけどした」
私に気付くと、カイさんはなぜかやっていたバットの素振りをやめ、眉をひそめた。
「表回れ」
「はーい」
うきうきと、また病院の方へ戻ると、すぐにカイさんが鍵を開けて中に入れてくれた。
カイさんはここの個人病院の先生だ。
カイさんのお父さんが元々やっていたけど、三年前に研修が終わってカイさんが帰ってくると、早々に跡を譲って海外に行ってしまった。
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