恋煩いは医者じゃなきゃ治せない

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「うっせー。 診察料だ、よこせ」 しぶしぶタッパの入った袋を差し出すと、受け取ったカイさんは早速ふたを開け、ぽいっとひとつ、口に入れた。 「おまえ、料理だけはうまいよな」 「じゃあ、カイさんのお嫁さんにしてくれる?」 勢いよく顔を上げ、思いっきり期待して椅子から身を乗り出して聞く。 けど、カイさんの答えは。 「俺はガキに興味はない」 「いたっ」 でこピンしてきたカイさんが、からかうように右の広角だけを上げてにやっと笑う。 ……わかってる。 カイさんが好きなのは私のお母さんで、私じゃない。 私はもう、高校二年生になっていた。 カイさんとの関係は相変わらず。 小さな怪我や病気を口実に、カイさんに会いに行く。
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