覗く過去、波打つ心

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 毎日は、追われるように過ぎていく。  何もかも蒸発してしまいそうなほど暑い南国の夏は終わり、季節は緩やかに休息の秋へと移ろうとしていた。 ―――――― 「麻倉」  高田くんとの打ち合わせを終えオフィスに戻ると、課長に呼び止められた。  席に座り私を見上げるその顔は、なんだか浮かない表情をしている。 「……何かありました?」 「次回の比嘉産業との打ち合せ、火曜から月曜の午前中に変更して欲しいって今連絡があったんだ」  その時間に変更なら、前日の夕方には沖縄入りしなければ間に合わないだろう。  私は、パソコンの電源を入れ、いつも利用している航空会社のホームページを開いた。
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