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 膝を抱えて座り込む相方の隣に、悪魔もあぐらをかいて座る。  川辺という自然の傍にいれば、休んでいるだけでも、相方は少し回復するはずだ。今は別に、相方の主食――悪魔の血をよこせというわけではなさそうだった。 「オレもお腹すいたよ、ホントー。これから食生活、どーしようねぇ?」 「……今まで汐音は、どうしてたんだ」  怪訝そうな相方と違い、悪魔は根っからの吸血鬼だ。人血以外はほとんど何も、力にはならない。  以前に相方と過ごしていた時は異界にいて、また「翼槞」が体を使っていたので、人間を襲うことに躊躇はなかったのだが……。 「こっちは監視が厳しいからねぇ。オレのご飯は、稀に輸血の余りをもらうけど、後はせいぜい悪魔狩りくらいかな」 「……悪魔狩り?」 「そっ。悪魔の囁きに負けた人間から、こっそり血をもらってくわけ。これは今んとこ、誰にも怒られずにやれてるからさ」  人間界という場所は、人間だけがいるように見えて、実は全くそんなことはない。  悪魔のように、意識して人間に紛する人外生物もいれば、自身が人外と知らない人間も沢山いる。  妖怪や鬼の血をひき、身体の一部が人外の者もいるが、それより多いのは精神的な逸脱――人間から成る悪魔という破綻者だった。 「あまりに悪魔が多過ぎて、全人類の罪を引き受けたっていう、凄いのがいるくらいなのにね。自分が悪魔って知ってる奴は、不思議とほとんどいないんだよね」
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