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 それは何となく、ツバメにはわかっていたことだった。  日曜の夜、不要な手間の増えた悪魔狩りで、そのツケは誰が支払うのかという現実は。 「……あれぇ? ツバメくぅん?」  一度送っていたので、難なく着けたキカリさんの家で呼び鈴を鳴らすと、寝間着姿のキカリさんが出てきた。  かなり青い顔をしていて、相当ひどい貧血だとわかった。 「キカリ、ずっと休んでるから。これ、マスターから」  あれから六日、ツバメは八百屋で、朝から晩までがっつり雇ってもらえた。  店主はやはり、キカリさんの復帰を今か今かと待っている。本日はお駄賃を出すからと、差し入れを頼まれたツバメだった。 「うちの旬野菜食ったら、すぐに元気出るってさ、マスター」  キカリさんの血色を失わせた張本人、汐音はいつも、人を殺すまではしない。ツバメが汐音に家を教えたので、キカリさんはあれから泥に運ばれて、自分の部屋の前で目が覚めたはずだ。  しかしあの日は無駄に大事になってしまったので、キカリさんから多めの血を奪わないと、汐音はツバメを回復できなかったのだ。  なので、キカリさんが長く休んでいるのは、ツバメの責任に他ならないだろう。  そんなこととは露知らず、思わぬツバメの訪問にとても驚いているキカリさんは、思い出したように顔を赤くしていた。 「……やだぁ。ワタシ、すっぴんだったぁ」  そう言いながら、差し入れを嬉しそうに受け取ったキカリさんだった。
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