溢れ出す想い

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「芸術以外、ですか……」  課長の言ったことを、手帳に書き留める。ただ焦っていても仕方がない。与えられたヒントを自分なりに咀嚼して、なんとかしてアイデアに結び付けなくては。 「打ち合わせは来週だろう? もう少し時間あるし、二人ともぎりぎりまで粘ってみて」 「はい!」  課長に返事をして、折れそうになっていた心に気合いを入れ直した。 「……課長、麻倉さん申し訳ありません。次のアポイントの時間迫ってるんで、お先に失礼いたします」  高田くんは広げていた資料を手早く片づけると、鞄を手に席を立った。 「わかった。気を付けて」 「ありがとうございます。行ってきます」 「いってらっしゃい」  高田くんがミーティングルームから立ち去るのを見送って、私は、まだ席に着いたままの課長に向き直った。
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