109人が本棚に入れています
本棚に追加
「どうして?」
「どうして、って……お二人はてっきりそういう関係なんだと思ってましたから。課長が麻倉さんのことを置いていくはずがないって……」
「ハズレ。残念ながら私と課長はそんなんじゃないわ」
「なんだ……違ったんだ」
気まずそうに頭を掻く高田くんに、私は笑みを返した。
課長からのプロポーズに、心が揺れなかったかといえば嘘になる。
あの時は心が弱っていたから、差し伸べられた手に思わず縋りそうになった。
でも、私の中にはいつでも三浦さんの面影があって、いくら消そうとしても消えない。
他の人に気持ちを残したまま、課長と一緒には行けない。あの後私は、課長に自分の正直な気持ちを打ち明けた。
最初のコメントを投稿しよう!