そのままの君に

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「あなた……麻倉さん?」 「夏希さん……」  平日だというのに、入り口のシャッターは下ろされていたし、ちょっとポスターを見たら、すぐにここから立ち去るつもりだった。  きっと会うことはないだろうと思っていたのに。外出先から戻って来たばかりらしい夏希さんと鉢合わせしてしまった。 「どうしたの? 今、仕事中?」 「社外で打ち合わせだったんですけど、早めに終わっちゃって。上司には直帰って言って出てきちゃったんで、まあ、サボりです」  まずいところを見つかったと肩を竦める私を見て、夏希さんは小さく笑いを零した。 「ねえ麻倉さん、せっかくだし、時間あるなら久々に中を見て行かない?」
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