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「そんな、頭を上げてください。夏希さんの気持ちはわかります。私が夏希さんの立場だったとしたら、きっと同じことをしていたと思うもの」
夏希さんはきっと、思うように絵を描けなくなっていた三浦さんのことをなんとかしたい一心だったのだ。そんな彼女のことを責める気は毛頭ない。
「……でも、どうしてあなたは和史から離れたの? 和史も調子を取り戻したようだし、あなたたちは、画家とモデルとしての相性もいいと思ってたんだけど……」
「それは……本当にすみません」
今度は私の方が謝る番だった。彼女になんの相談も断りもなくモデルを辞めてしまったことを、内心私も気にしていた。
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