そのままの君に

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「いいえ、あなたが謝る必要はないのよ。元々こちらが無理やり頼んだんだし。……仕事との両立が厳しくなったの?」 「違うんです。仕事のことは関係ないんです」  私がそう答えると、夏希さんは胸元に手を当てホッとした表情を浮かべた。  私が三浦さんの元を離れたことを聞いて、夏希さんなりに心配してくれていたんだろう。そんな夏希さんの気持ちが素直に嬉しかった。 「夏希さんが言うように、三浦さんは自分本来の絵を取り戻したと思います。こんな素人モデルの私でも少しは彼の役に立てたんだってわかって、本当に嬉しかった」 「そうね、和史がまた人物を描けるようになったのは間違いなくあなたのおかげよ。感謝してもしきれないわ」  夏希さんの唇が、綺麗な弧を描く。彼女もまた、最近の三浦さんの作品の出来に十分満足しているのだとわかった。
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