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「えっとあっ!マフラー外したら首が無くて驚いたよ」
了は感謝された恥ずかしさから話を変える。ムクは了が驚いたと知り、妖怪としてつい嬉しくなる。
「普段はマフラーで隠してるの」
「ろくろ首の妖怪て首が長い奴だけかと思ってた」
「2種類いるのさ。首が無いやつと長いやつ、私は無いやつ先祖が飛頭蛮なの」
了はそれを聞き納得した。そして本題に入る。
「しかしなぜ怪我をしてたんだ、何かあったのか」
「ああ、そうだ。昨日誰かに斬り付けられたんだ」
眠りから目覚めすっかり忘れていた。私の言葉を聞き了は険しい目をした。
「何、詳しく教えてくれないか」
「・・・私は普段人里で働いているんだ。仕事が終わり呉服屋の店員の友人と会ったりして、その後、家に帰ろうと暗闇の森に通じる道を歩いていたんだ。 すると急に鋭い痛みが背中に走ってふりむいたら・・・」
昨日の事を思い出し恐怖で体が震えていた。了は無理しなくていいと言ったがムクは、話を続ける。
「仮面で顔を隠し刀を持った奴がいたんだ。妖怪の力は感じられなかった。たぶん人だと思う」
了は黙って聞いている。心当たりがあるのだろうか?
「何とか反撃しようとしたけど・・・そいつ強くてさ・・・私また斬られて、痛みで気絶したんだ」
その後夜に目覚め意識が朦朧としながら助けを求め、了の家についた。
「大変だったなそれは、しかし人に斬り付けられるなんて人を傷つけたり、襲ったりしたか?」
「そんなことしてない!」
ムクは強く否定した。
「私は人里で働いている時や、買い物するときは脅かさない様マフラーで首を隠している。あんただって知っているだろ、人里で働けたり住めたりできる妖怪は善良な奴だけだって・・・」
了は頷き肯定する。そのことは誰もが知っていることだった。
「そりゃ私も妖怪だし人を驚かしたりするけど、傷つけたり・・・ましてや殺めたりしないよ」
ムクはうなだれる。自信が襲われたことに疑問の念が大きいのだろう。
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