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「どうしたんだ。恐ろしい者を見たって感じだけど」
「あ、あんたが昨日私を襲った奴か」
ムクは怯え恐怖で体震える。死の恐怖が再び湧き出てくる。相手はムクの問いに平然と答える。
「そうだ。顔を隠してたせいかうまく切れなかったか、念のため首を刺したんだがなあなぜ生きてるのかな」
「私は首のない妖怪だ。そんなことよりなぜ私を襲った!。私は何もしていない、誰かと勘違いしてないか」
ムクは震え声で相手に訴える。
「何もしていない・・・」
しかし、相手はムクの訴えを聞き声を出して笑った。ムクは困惑した。
「何がおかしい・・・」
「妖怪なんているだけで害をなす、存在しているだけで罪だ。襲った理由はそれだけだ」
相手はそう言い切りムクは言葉を失った。
「今日は仮面をとるよ、確実に仕留めるためにね」
そう言い仮面を取り外した。現れたのは若い少女であった。ムクはその顔に見覚えがあった。
「葉月・・・」
「そうさ、呉服屋で働いているあんたの友人のね」
ムクは目の前の光景が信じられず、頭が真っ白になった。
「あんたのこと人間だと思ってたんだがある日気づいたんだ、妖怪だって事にかすかな妖力でね。妖怪だって知ったときは人に紛れて何かしないかと冷や冷やしたよ。いやまったく、だけど今日で終わりだ」
そんな葉月にムクは涙声で言い返す。
「私は妖怪だ・・だけど人間と仲良く・・・・・・」
辛くて、これ以上の言葉はでなかった。
「・・・それが最後の言葉でいいな」
葉月は刀を構えムクを見据える。ムクは精神的ショックで動けなかった。そんな中、第三者の声が響く。
「言い分けないだろ」
「!!」
「!!」
葉月は第三者の声に驚き、そちらに顔を向ける。そこには了がいた。了は葉月に向かい話しかける。
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