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その時、エルカードの音声が場を支配した。
<オーガ>
「何ィ!!?」
「遅いッ!!」
音がした方に振り向くと木の陰から鬼の力を得た了が飛び出してきた。葉月はとっさに防御しようとするが、了の拳が葉月の腹をとらえた。
「グアオガッ!!!」
葉月はふっ飛ばされ何度も地面に叩きつけられてようやく動きを止めた。
「ふう、危なかったぜ」
了はため息を吐き力を解除する。
「生き、生きなんでいきているの???」
「?」
ムクは信じられない顔をしている。了はムクが何に驚いているか分からなかった。
「だってそこに死体が・・・ない!?!?」
先ほどあった焼死体はどこにもなく消えていた。了はムクが何が言いたいのかに気付いた。
「私は葉月の攻撃を受ける瞬間にこのカードを発動させた。」
ムクに<フェイク>と書かれたエルカードを見せる。
「これは分身を作り出すカードでな、奴の雷の光で辺りが真っ白になったときに入れ替わり、分身に刀を受けさせ、私は木の陰に隠れた。タイミングがずれたらやばかった。あと葉月が怒りで我を忘れていたのも良かった。」
それを聞いたムクにある疑問が浮かんだ。
「エルカードを使うと音が鳴るよねあれはどうしたの?」
「それは雷の音で消えた」
ムクはそう言われると攻撃の瞬間は雷の音で何も聞こえなかったことを思い出した。
「まあ、勝てた要因は奴が最後の最後で油断したのが大きいかな」
了は倒れた葉月に視線を移す。了はムクに尋ねる。
「こいつがなぜムクを襲うほどの憎しみを持っていたのか知りたいから 診療所に連れて行きたいんだがいいかな?」
そう尋ねる了にムクはうなずいた。
「私も葉月がどうしてここまで恨んでるのか知りたいし、何よりも友達だからね、助けたいよ」
「そうか・・・こいつと私の怪我もあるし急ごう」
「葉月は私が背負うよ」
ムクは地に横たわる葉月に駆け寄った。
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