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朝になり、しばらくすると包帯にまかれている了と汗まみれのミヅクが現れた。結果を聞くと、どうやら治療は無事成功したとのこと。そのことを聞きムクは安どした。ミヅクは椅子に腰を下ろした。
「了ちゃんも葉月ちゃんもう大丈夫」
「そうですか。大丈夫?了」
了は包帯でミイラ状態になっており口をもごもごとさせた。意味は平気である。ムクは了の包帯を顔の部分だけ取ってあげて喋れるようにする。ミヅクは椅子に座りゆったりしている。ムクは恐る恐る尋ねる。
「あの・・・」
「ああ、そうだったな」
ハッとするミヅク。治療の事で頭がいっぱいだったのだろう。
「えっと葉月ちゃんのことだな。彼女が封魔の一人であることはしっているかな?」
「いいえ、霊力を駆使し戦っていたのと妖怪への恨みで封魔の者だと考えましたが、やはりそうでしたか」
了とムクはそれを聞きな納得した。そして一番聞きたいことをミヅクに尋ねた。
「彼女はなぜ妖怪を強く恨んでいるんですか、やはり封魔にいたことと、関係が?」
「ああ・・・葉月ちゃんは家族を妖怪に殺されて封魔に入ったんだ」
それを聞き ムクは驚いた。ミヅクは話を続ける。
「私もその時の事は詳しく知らないが昔、葉月ちゃんが家に帰ると家族が皆殺しになっていた。犯人を村の人総出で探しても分からず、もしや妖怪の仕業と考え封魔に調査を依頼した。そして犯人は妖怪だと分かり退治された。そして家族が妖怪に殺されたと知った葉月ちゃんは封魔に入りたいと願った。あ、話長くなるけどいいかな」
了とムクはお構いなくと頷く。ミヅクは続きを話す。
「何故、封魔に入りたいのか聞くと、妖怪のせいで自分みたいに家族を殺され、辛い思いをする人を減らしたいから、と言ったらしい。その後、封魔に入った葉月ちゃんは凄かった。霊力を得る厳しい訓練や戦いを何度も乗り越えた。ある日、私は彼女に戦って恐怖はないのかと尋ねたことがある。すると私にこう言った。 【怖いですけど、妖怪を倒し妖怪が居ない世界を作るのが今の私の幸せですから。もしそうなれば殺された家族や戦いの中で死んだ友人が報われると思います。】 てね」
了とムクは神妙な顔で聞いている。
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