第二話 剣と被害者

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「今回のは封魔の事件でもあるからな、金はいいよ」 「そうですかでは、ありがとうございました。」  了とムクは頭を下げ、診療所を後にした。診療所を出るとムクは了に話かけた。 「葉月は妖怪のせいで不幸になったんだね・・・」 「そうだな。妖怪にせいで被害者になり、妖怪のせいで加害者にもなったんだ・・・」 ・・・・・・ ・・・・・・  後日、了は人里にいた葉月が退院したと聞いて様子を見に来たのだ。呉服屋の中で葉月は人に囲まれていた。周りの人間が心配そうに尋ねる。 「葉月ちゃん仕事休んでどうしたの?」 「大丈夫です。少し怪我しちゃって、心配をかけてすみません」  葉月は周りに笑顔で返す。その笑顔には戦った時のモノは無かった。 「あの時とは別人だな・・・」  了は葉月の笑顔を隠れ見て、あれが本来の彼女だと分かり、また妖怪には向けられない顔だとも分かった。了は悲しくなり人里を後にした。
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