第三話この世界にて

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「妖怪が幻想存在だとしても、人間は違うだろう?」 「人間の中にも行き場のない奴、不要な奴、消えても構わない奴がいる」 「ああ・・・」  その言葉に納得するブルー。人間は大多数の者が必要とされるが極僅かなものは必要とされず死ぬ、それは化け物であるブルーにとっても常識としてわかっていた。もっとも自分が不必要な存在になるとは夢にも思っていなかった。 「次はこの世界について大まかな歴史を話すか。この世界ではかなり前に妖怪と人間の大きな争いがあったが、今は和解ている」 「妖怪との大きな争いだと!バカな。妖怪は人を襲う等して力を得るが、人が居なければ力を失う。それこそ幻想になって消えることもある。なのに人に対して大きな争いなどと、ありえない」  ブルーは声を上げて困惑した。アサキシは淡々と話を続ける。 「それは、先導師と呼ばれる者が現れたからだ」 「先導師・・・?」  ブルーは聞いたこと無い言葉を呟く。アサキシはそうだ。と答え、話始める。 「この世界も妖怪と人との大きな争いも無く古き時代、要は人を脅かし、そして退治する関係であり、 人命の危険はそれほど深刻な問題では無かった時代があった。しかし先導師が現れたことに全てが変わった。先導師はこの世界に相応しくないほどの科学、オーバーテクノロジーを与えた。人体の細胞を自在に操る技術、ナノマシンと呼ばれるものや特殊兵器、パワードスーツなどをな」  アサキシの話は続く。ブルーにとって中々納得しがたいことが。 「そして一部の妖怪たちは恐れた。科学が進歩することで人間が強くなり、再び妖怪は力を落とし、脅威で無くなり、消えてしまうのではないかと考えた。それにより妖怪は今で以上、必要以上に人を襲い殺した。自らの存在を揺るぎない物にするために」 「しかし、人間もやられっぱなしではないだろう?」  ブルーが口を挟む。人間はやられたらやり返す生き物、分かっていた。ブルーの言葉に肯定するアサキシ。 「そうだ。人々も立ち上がり妖怪を退治する〔封魔〕を組織した。メンバーの多くは妖怪に恨みを持っている者らしい。私も詳しくは知らん、何しろ人里が出来る前に出来た組織だからな」 「そうか。なるほど殺し殺されか、泥沼だなどうやって和解した?」 「それは大災害によってだ」  
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