第三話この世界にて

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「言ってくれるなあ、まあその通りだ。エルカードは使い方次第で凶器になりかねんからな。了についてもエルカードを持たせたままにし、平和利用すべきと考えて手元に置いといた。そっちの方が良い、世界にとってもな。あと了自身は善良な奴だ、今のところトラブルは起こしていない」 「・・・・」  ブルーはあることに気づいた。それはアサキシが吸血鬼を微塵も恐れていないことだ。謝罪したとは言え問題を起こした者と二人っきりで話しているのだ。ただ者でないことが分かった。ブルーはその事に気づいたのを隠しながら、アサキシを相手する。 「さて、次の質問は・・・」 「・・・世界ののルールについてだ」 「それなら簡単だ言っていくぞ。一つ人里で妖怪は人を襲ってはならない逆も然り。二つ妖怪のテリトリーには無闇に入らない。三つ人里の法は人里でのみ機能する」 「良しそこまでで十分だ」  ブルーは話を途中まで聞き話を区切る。アサキシはきょとんとする。 「む、まだあるが・・・まあ大切なのは言ったしいいかな。お前も守ってくれよ」  アサキシはブルーに釘を刺した。そして、他に何か尋ねる事は無いかと聞くと、ブルーは無いと答え、アサキシに対し、謝辞を述べ、管理所を後にした。  アサキシは次の来訪者を迎える準備をした。 夜、上空。  ブルーは自分の館に向かい飛びながら今日の話を振り返る。謎の多い世界だと分かったがアサキシがただ者でないことも分かり、今日聞いた話の中に嘘の部分があると感じた。 「・・・面白そうな世界だ」  吸血鬼は笑みを浮かべた。
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