第一話 青い月と不思議なカード

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・・・・・歩いて何十分たっただろう。暗闇の森と呼ばれる広い森に入り、人狼が住むといわれている場所を静かに通り、ようやく目的地にたどり着いた。私は目の前の光景に唖然とした。 「ここに吸血鬼は居るのか・・」  目の前には大きく、長い年月を感じさせる洋館があった。しかも庭も備えて在り、庭には薔薇やハーブ、更には噴水まであった。住む者の富を表していた。私は思わず自分の家と比較した。 「でかいなー家ー私の家とは大違い・・・」  私の家は小屋みたいとよく言われており、吸血鬼のほうが立派な家に住んでることにショックを受けながらも私は館に入り込んだ。中に入ると広いロビーに続いた。内装もシャンデリアなど豪華な装飾品で溢れていた。改めて自分との富の格差を思い知らされた。しかし窓は見かけなかった。吸血鬼だからだろうか?  「・・・誰かいないのかー」  私は念のため確認をすると奥から、体に包帯を巻き、片目を隠したメイドが現れた。メイドは私にお辞儀し、言葉を発する。 「いらっしゃいませ、お客様」 「ここに吸血鬼がいるな、会わせろ」  メイドの風体と対応に面食らったが私は威圧的に問いかけた。しかしメイドは臆することなく普通に対応してきた。 「お嬢様に御用ですね。お嬢様のお部屋まで案内いたします」 「・・・」  メイドが自身についてくるよう、指示し私はメイドの後ろを歩いた。  私はメイドに不審と感じたが素直に従うことにした。私は部屋にたどり着くまでいくつかの質問してみた。これにメイドは気軽に答えてくれた。答えてくれない物だと考えてためか、その態度に僅かな不気味さ感じた。暗い廊下にコツコツと足音が響く。 「吸血鬼なのかお嬢様は?」 「はい、そうでございます」  メイドは主が吸血鬼でも仕えているのか・・・恐れとかは無いのだろうか、そう考え。何故、仕えているのか?と尋ねるた。メイドから仕えたいからですと返答され、化け物だとしてもか?と改めて尋ねたが、はいと迷いの無い言葉で即答だった。メイドにとってお嬢様は良い主なのだろう。もしかしたら穏便に事が進むかもしれない。 「そうか、何時から仕えている」 「ずっとです。生きている時からずっと」  メイドから肉が腐った腐臭が微かに漂った。メイドも人間ではなかった。先ほどから部屋に向かっているが館の大きさの割りに静かで、不気味な雰囲気を漂わせていた。
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