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「・・・他に誰かいないのか」
「私とお嬢様だけです」
メイドとの会話を繰り広げている間に、目的の部屋にたどり着いた。扉も装飾が凝ってあり、如何にも中には偉い者が居ると分からせた。
「こちらにございます」
メイドが扉をあけ中に入ると、部屋は西洋の装飾で美しく、その中央の椅子に煌びやかなドレスを着た妖艶な女性が座っていた。彼女の外見は館にある装飾品に引けをを取らない相応しいモノだった。白い肌に顔は美しく、気品を感じられた。しかし姿こそは人であるが、背にはステンドガラスのよう翼、捕食者の眼、人ならざる者の威圧感が感じ取れた。
「お嬢様、お客様でございます」
「ようこそ、我が館へ・・・なにか御用かな」
呼ばれた吸血鬼は私を見て微笑む。背筋がゾクリとした。蛇に睨まれた蛙はこんな気分なのだろうか。
「・・・お前が月を青く染めているのか」
私は単刀直入に問い詰めた。その言葉に吸血鬼は笑い、そうだと答えた。私は相手が素直に話したことに驚き理由を尋ねる。
「なぜそんなこと?」
「まあまて、そう言う話は自己紹介をしてからだ。私の名はブルー、吸血鬼だ。お前を案内したのはゾンビ兼メイドのディナだ」
「ディナでございます」
吸血鬼ブルーは私の話を遮り、自分らの名を名乗った。そして私に会釈するディナ。この状況では私もせざる負えないな・・・自己紹介は大切だ。私は咳払いし自己紹介を始めた。
「私の名は了青い月を止めに来た者だ。ブルーなぜ騒ぎを起こし人を恐怖させる」
ブルーは了を注意深く見る。了の姿は黒く短い髪の年若い少女で服装も特別変わったものでなく、白いジャケットにスカートをはいた、見た感じ何の変哲もない人の姿だ。ブルーはとっては取るに足らない存在と判断し、笑う。
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