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「残念ながら、自己紹介している暇はないぜ。君、走れるか?」
少女は小さく頷いた。
「いちにのさん!GO!」
僕は少女の手を引き、思いっきりダッシュした。
路地を一本、二本、三本……。
どんどん聖夜の街を駆け抜ける。
白い雪の舞う街を……。
どれくらい走ったのか。
目の前に倉庫郡が並んでいた。
「はあ……はあ……。ひとまず、そこの倉庫に隠れようか……」
「……はあ……そうですね……」
僕は少女を倉庫内に、連れて行った。
「ふう、これで一安心かな?」
少女はこくんと頷いた。
改めてみると、少女の美しさはとてもじゃないが、言葉では言い尽くせないほどだ。
僕は顔が赤くなってしまっていないか、気になった。
「さてと……。どうしたものかね?これから。君、家はどこ?」
少女は首を横に振る。
「まあ、今家に帰っても、あいつらがいちゃやばいよな。う~ん。僕の従妹のとこに泊まるかい?
安心しな。生物学的に言えば、女だよ。見た目も性格も、ま~ったく色気に欠けるがね」
少女はぽつんと言った。
「聞かないんですか?どうして、追われているのか……。それに、どうして助けてくれるんですか?見ず知らずの私を……」
「いや~。僕、人のプライバシーには立ち入らないってのが、ポリシーだからね。困った時は、お互い様でしょう?」
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