前編

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僕は自分でも何言ってるんだか、少女の綺麗な目に見つめられて、しどろもどろで、答えた。 「まあ、人を助けるのに、理由つけるのも、おかしいだろ?君が困ってたから、助けた。まあ、ただ、それだけだね」 少女の顔を見るのが怖かった。 呆れているだろうな~。 そう思ったから。 だが、突然、僕の胸に暖かいものが押し付けられた。 僕は驚いて下を見ると、彼女が僕に抱き付いていた。 「あ……あの……」 僕の思考は停止寸前。 「ありがとう……。ありがとう……」 少女は泣いていた。 僕はそっと少女を抱き締めた。 その時、 「この辺りに逃げ込んだぞ!」 と、声が響いた。 あの男のものだった。 しかも、足音や気配は一人だけのものではない。 相当な大人数だ。 これはやっかいなことになった。 あの馬鹿、応援なんて呼びやがったのか。 意気地なしめ! 僕は思いっきり毒付いた。 心の中で。 「あ……あの……」 「しっ。音を立てないで……」 今は相手のことを把握しないと……。 そっと、ドラム缶の隙間から、男たちを盗み見る。 と、僕の目に飛び込んできたのは。 黒光りする拳銃!!!!! うそだろ……? ここは、日本だぜ? 僕は日本の安全神話の崩壊の音を、聞いた気がした。 ガランガランガラン。 これは、僕の頭の中の崩壊音ではない。     
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