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僕は自分でも何言ってるんだか、少女の綺麗な目に見つめられて、しどろもどろで、答えた。
「まあ、人を助けるのに、理由つけるのも、おかしいだろ?君が困ってたから、助けた。まあ、ただ、それだけだね」
少女の顔を見るのが怖かった。
呆れているだろうな~。
そう思ったから。
だが、突然、僕の胸に暖かいものが押し付けられた。
僕は驚いて下を見ると、彼女が僕に抱き付いていた。
「あ……あの……」
僕の思考は停止寸前。
「ありがとう……。ありがとう……」
少女は泣いていた。
僕はそっと少女を抱き締めた。
その時、
「この辺りに逃げ込んだぞ!」
と、声が響いた。
あの男のものだった。
しかも、足音や気配は一人だけのものではない。
相当な大人数だ。
これはやっかいなことになった。
あの馬鹿、応援なんて呼びやがったのか。
意気地なしめ!
僕は思いっきり毒付いた。
心の中で。
「あ……あの……」
「しっ。音を立てないで……」
今は相手のことを把握しないと……。
そっと、ドラム缶の隙間から、男たちを盗み見る。
と、僕の目に飛び込んできたのは。
黒光りする拳銃!!!!!
うそだろ……?
ここは、日本だぜ?
僕は日本の安全神話の崩壊の音を、聞いた気がした。
ガランガランガラン。
これは、僕の頭の中の崩壊音ではない。
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