警視庁第十九課 『七つの大罪殺人事件』

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 十九課の部屋に戻ると、意外な人物が待っていた。 「やあやあ、諸君。ちゃんと捜査しているかい」  手入れしていないぼさぼさの髪に、昨夜飲んだのだろうか、酒のせいで目は濁っている。唇も乾燥してひび割れ、肌も荒れていた。  その男性は、お世辞にも清潔とは言えない。だが、湊人たちは駆け寄る。 「チーフ、どうしたんですか。そんなに荒れて」 「荒れないとやってらんないよ、こんな事件」  彼の名前は、布井(ぬのい)祐一(ゆういち)。  第十九課のトップであり、三人にチーフと呼ばれ慕われている人物である。  なぜ彼が湊人たちから慕われているかという話は、また今度するとしよう。  それはともかく、とうとう十九課にも、捜査に加わるようにと指令が下ったそうだ。 「早速だが、事件の概要を説明する。各自、席についてくれ」
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