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「何だこれ」
それは、十字架に磔にされた男性だった。
倉庫の壁に磔にされたその人物は、まるでキリストのようだ。
磔にされた男性はひじから先、膝から下が切断されており、白かったであろう十字架は、今は被害者の血で赤く染められていた。
その隣には、オオカミの絵と「wrath」という単語が被害者の血液で描かれている。
「湊人たちは知らんかもしれんが、巷では『七つの大罪殺人事件』とかいうて有名やで」
翔大が後ろから説明する。
「犯人は誰か、怪しい人はいる?」
遊星の問いに、翔大は首を振った。
「ここに遺留品は一切残ってなかった。指紋も、下足痕も全く。もしかしたら、普通の事件じゃないかもしれん」
被害者の様子を調べていた湊人はその会話を聞いて、亜土か、と周囲に聞こえないぐらい小さな声で呟いた。
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