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「ふぅん? ……っていうか、それ。その……」
塚本くんは、わたしの手元を凝視し、頭を抱えてウンウン唸る。わたしは
「マフィンのこと?」
と問うと、塚本くんはハッとしたようにコクンと頷く。
「そう、それ。どうしたんだよ」
「……どうした、って?」
「小野里(オノザト)が、さっきからずぅっとマフィン見て何度も何度もため息吐いてるんだろ? そんなに嫌いなのかよ」
「嫌いじゃないけど……。実はこれ、ひとつだけ余っちゃって。どうしようかってずっと迷ってたんだけど。
…………塚本くん、これいる?」
あげるつもりはなかった……というか、そもそも思い付かなかったが、塚本くんがあまりにキラキラとした目で見るので、押されてつい、言ってしまった。
「マジで!? 良いの? っしゃあ、ありがとうっ!」
……まだ、いいよって言っていないんだけど。
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