0人が本棚に入れています
本棚に追加
***
それからだ。わたしのなかに塚本くんが居座り始めたのは。
隣の席だった塚本くんは、翌週の席替えで机をふたつ挟んで隣の席になった。
……遠い。
これじゃあ班だって同じにならないし、会話する機会もめっきり減る。
誰にも気づかれないように、はぁ、と小さくため息を吐いた。
それから、お菓子を作る回数が、ちょっとだけ増えた。
塚本くんに、また美味しいお菓子を食べてもらいたいから。「美味い」って言ってほしいから……。
さらに、妄想という名のシミュレーションもたくさんした。
もし駅前でばったり会ったら……
もし、両想いだったら……
もし、デートで映画を見に行くなら……
もし、塚本くんの家に行くなら……
頭のなかではわたしは積極的。でも本物を目の前にするとなかなか話しかけられないのが現状。
最初のコメントを投稿しよう!