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「ところで、勇者ってさ、どんぐらい稼いでいるのよ」
盗賊が目を輝かせて聞く。
「あ、それ気になるかも」
「わたしも」
女性陣から注目の的になる中、勇者はゆっくり目を閉じ、思いだそうとした。
町娘「東の端で〇を、南の真ん中で△、北の端で□。さすれば、汝は力を手にする。なんの詩かしら?」
旅の商人「政略結婚ですな」
大臣「一発だけでもいいからやってくれ。勇者だろ?」
※「わんわん」
天の声「合コンに参加するのです。それしか術はありません」
稼ぎに関することは思いだせなかった。
「おいおい。勇者ばっかりずるいじゃないか」
赤ら顔の武闘家が話題に割りこむ。
「見てくれ。この肉体美! 筋肉&スタイリッシュ!! フン、フン、フンフンフン」
大きく息を吸い、胸を張り、両肘を力強く曲げ、しつこくアピールする。
魔導士は静かにかつ早口で呪文を唱えた。
武闘家はぴたりと動かなくなった。顔色がますます悪くなり、口もとを押さえ、トイレに駆けこんだ。
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