転生・イグニスへ

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「その分暮らしは快適ですよ。科学文明の発達した地球とそんなに文明レベルの差がありませんから。逆に言うと異世界物でよくある知識チートとかは完全に使えませんが」 「おう、なんちゅー例えをしてくれるんだ」 ウリエルのぶっちゃけた話に俺は思わず頭を抑える。わかりやすいちゃ分かりやすいが、ファンタジー的存在が知識チートとか言わなくでくれ。 「あとは魔物とかも普通にいます。強大な魔物とかは人の暮らしているところから離れたところで暮らしているので鉢合わせる可能性は低いですが、ゴブリンとかその辺の弱い魔物は人里に結構現れます」 「へえ」 魔物あり、と。そしてテンプレ的雑魚であるゴブリンも実在、と。となるとスライムもいるのか? 「………なんとなく想像できてしまったのでお答えしますが、スライムもいます。いますが、近づかない方がいいですよ」 ウリエルが顔をしかめて答える。 「ゲームに例えると物理無効、魔法耐性極大、状態異常無効的な存在ですから。その上タフで少しでも触れたら速攻で骨まで溶かされます」 「………ヤバイ方のスライムかよ」 ドラ○エのような雑魚扱いではなかった。まあ普通スライム状の体はそんな感じなんだろうけどさ。 「それで、イグニスが瀕している危機、ってなんだ?そのスライム大量発生か?俺に何をやらせるつもりなんだ?」 想像していたファンタジー世界とはだいぶ異なる世界観に何が原因の危機があるのだろうか、と俺はウリエルに尋ねる。というかこれが本題である。 「超古代文明の遺産、そこに封じられている魔族と呼ばれる存在の復活です。何かしらイグニスとは異なる世界からの干渉を受け、封印が解かれようとしているんです。駆さんにはその干渉の原因の調査、及び魔族が復活したさいに戦える人たちの手助けをしていただきたいのです」 「へえ」 調査はともかく、戦え、とは言わないのか。あくまで手助けであり、戦いそのものはイグニスの住人たちにやらせる、ということなのだろう。 「まあチート能力を私たちが与えて好き勝手やっていい、ということにはなりません。それは私たちが世界そのものに干渉しているのとなんら差がありませんか」 ウリエルが俺としたら好感が持てる回答をする。
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