転生・イグニスへ

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「わかった。俺としたらそれでいい」 俺TUEEEEE!は小説とか漫画で読むのは面白い。面白いが、俺がそれを行うのは嫌だ。無意味な力、というのは己が身を滅ぼすものなのだから。 「ご理解いただきありがとうございます」 俺があっさりチート能力なしを了承したことでちょっと拍子抜けの表情をしたウリエルだが、すぐに一礼して話を続ける。 「現在、イグニスには大陸が五つあります。その大陸に1つずつ、大きな国が支配しています。名前はそれぞれステイル共和国、ヤサ帝国、ゼノン王国、アルティマ連合国、ネゾン教国です。大陸ではない島国は他にも数多ありますが、今そこは省略させていただきます。駆さんはそのうちのひとつ、ゼノン王国に行っていただきます。国としたら5大国の中で小さい方ですが、魔法科学にもっとも力を入れていて地球上より豊かな暮らしをすることができますよ」 「へえ、技術大国ってことか。それは面白そうだ」 あんまり裕福な生活は送っていなかったが、やっぱり俺は現代っ子であり、中世のような生活を送れ、と言われたらきついものがある。それならやっぱり文明レベルが高い方がいい。ただ、問題もある。 「俺一人で国5つ回るのは無理だぞ?」 一国ですら怪しいのに、5つの国全部見て回るのはほぼ不可能だ。 「それは大丈夫です。他にも駆さんのような方を探していますから。いつ見つかるかはわかりませんけど」 心配する必要はないらしい。間に合うかどうかもわからないが。 「それよりまずは駆さんの名前ですね。イグニスだと藤堂 駆、という名前は不自然です。別の名前を用意しておいて、そちらを名乗った方がいいと思います。そうですね……… ルーグ、とかどうでしょう」 名前のことを言われて俺は苦笑する。確かに日本名は確かに地球上で見ても特殊である。それならウリエルの言うことを受け入れた方がよさそうだ。 「わかった。これからはルーグ、と名乗ることにするよ。ウリエルも練習のため、これからの説明では俺をルーグって呼んでくれ」 急に呼ばれ方が変わるのだ。挙動が不自然にならないように馴れておく必要がある。その訓練をウリエルに依頼する。
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