転生・イグニスへ

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「かしこまりました、ルーグさん。 と言われましても、あらまし説明は終わりました。あとは直接ルーグさんがイグニスを見て学んでいくことをおすすめします」 ウリエルはそんなことを言い、ポケットから何かしらの機械を取り出す。そこには怪しい赤いボタンがひとつだけついている。押せ、って自己主張しているかのように。そしてこれを押したら爆発する、と。 「これを押したらルーグさんはイグニスへ転移できます。心の準備が出来次第、押してください」 「………ある意味爆弾だな」 手渡されたスイッチを見て俺は苦笑する。どう見ても自爆スイッチにしか見えない。あながち間違ってはいないのだろうけど。 「武器とかそういうのはないのか?」 手ぶらでイグニスへ向かうのもどうかと思い、俺はウリエルに尋ねる。 「剣、というか刀はあります。ありますが、いります?イグニスだとたぶん役にたちませんよ」 と、一振りの刀をポケット(!?)から取り出す。刃渡り1メートルくらいだろうか。絶対にポケットに入る大きさではない。断じて入らない。抜き身なので入ったとしてもかなり危険である。 真っ黒い刀身よりどこからそんなものを取り出した、と俺は唖然としつつ、一応受けとる。 「その刀の銘はありません。付与されている能力は切断能力向上と自己修復の二つです。手入れの要らないよく斬れる刀、と思ってください」 「それは楽でいいな。いいけど………」 ポケットの秘密が気になる。 「ではそろそろスイッチをポチりといってください」 ウリエルに言われるまま、俺は赤いスイッチを押す。すると俺の体がゆっくりと透き通り始める。 「あ」 そこでウリエルが何かに気づいたように声を出す。その声に俺は嫌な予感がした。 「………この空間、どうやって外に出ればいいのでしょうか?さっき遠くまで飛んでいった時も景色変わらなかったのですが」 泣きそうになりながらウリエルがそんなことを訴える。 「俺が知るかーー」 ほとんど目の前から景色がなくなる。転移が終わりかけているのだろう。 「あ」 最後にウリエルのこんな呟きが聞こえる。 「転移位置情報、確認してませんでした」 「ちょ、それはーー」 やばいだろ!?と突っ込み終わる前に俺の意識は完全に闇に飲まれた。
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