魔物との遭遇

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???Side 私は果てしない緑色の地平線の景色を見る。いつ見ても退屈しかない緑色の地平線。そんな景色にため息を着く。その景色が高速で後ろに流れていくのだが、それでも何も変わらない。思わずため息を着く。あまりにも慣れた、退屈すぎる景色である。 「レア、この景色なんとかならない?」 ルゼロを運転している女性、レアに私は話しかける。 「適当に映像でも被せたらどうですか」 レアは適当に私の要望に答える。 「ああいった映像って大体同じもののループ映像じゃん。これとなんら変わらないよ」 変化は確かにあるのだが、録画されている時間が終わると同じ映像を最初から流すだけなのだ。何度も風景映像を見てきた私にとって、この景色と映像の景色はなんの差がない。 「なら本でも読んだらどうですか。私は持ち合わせがありませんが」 「持ってきた本は全部読み終えた。2度読みもいいけど、どうせなら新しいものがいい」 「2度読みで我慢してください。ルースレット草原ももうすぐ抜けますので」 レアの意見に不満を述べるが、我慢しろ、と言われてしまった。仕方ないので本を取り出す。フォングラムを操作し、本が私の前に出現する。取り出したのはただの学術書だ。しかも子供用の。今さら読む必要性のないものなのだが、なにか新しい発見があるのではないか、とこれを読むことにした。 魔法の基礎。それがこの本のタイトルである。魔法とは、魔力、と呼ばれる大気中、もしくは生物が持っている目に見えない力のことである。これはそれを変換するのに必要な知識が書かれている。もっとも、今は廃れてしまった旧式魔法の手解きが中心なのだが。曰く、魔法は詠唱を持って使用する、曰く、魔法には分類属性がある、など。今では廃れている知識である。 今の魔法はマギブースターを使用した、高速且つ無詠唱の魔法が中心であるし、分類も属性ではなく系統分類だ。火属性とか水属性とか、今となっては妄言である。今は分子系統、光子系統、精神系統、空間系統の4系統の分類が主流である。属性分類では説明のつかない魔法も、系統なら説明がつく場合が多い。
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