転生・イグニスへ

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「まあこいつのサポートをしている間は他の仕事をすべて免除する。あいつらも少しはそれで懲りるだろ。くくく………」 神が暗い顔で笑う。仕事をしている人を外すことで無理矢理仕事をさせる魂胆なのだろう。それでも動かずに仕事が溜まらなきゃいいけど………。 「それは是非ともお願いします!その後のことを考えたら今回の休日返上くらいは目を瞑ります!」 「そんなんで騙されんなよ」 その言葉に即座にウリエルは食いついた。そこに俺は思わず突っ込む。今回は、今回は、とずるずる引きずりそうな気がしたのだ。これが詐欺の手法である。 「え、私騙されたんですか!?」 ウリエルがこちらに振り替える。 「言質は取った。任せたからな」 その瞬間、神が姿を眩ませる。それを確認したウリエルはプルプルと怒りに体を震わせた。 「………まあ、元気出せ」 そんなウリエルの肩を俺は優しく叩く。あまりにも可哀想だ。 ーーしかしこの翼、作り物じゃない。間違いなくこの少女の背中から生えている。こうして近くで見ればそれがよくわかる。こんな生物がいたら一発で話が世界中に広がる。なのにそんな話なんて聞いたことがない。 神に天使。どうやらこれらの話は信じるしかなさそうだ。これを見せられて信じないほど俺は愚かではない。 「………いつか絶対、皆さんを見返してやります」 大量の涙を流しながらウリエルは誓った。 「………それで俺はどうすればいいんだ?」 なんとなく無理そうだよなあ、と思いつつも俺は話題を変える。 「まずは名前を教えていただいてもいいですか?話がしにくいですので」 ウリエルが真っ当なことを言う。そういえばまだ一度も名乗ってなかったな、と思いながら俺は自分の名前を告げる。 「駆。藤堂 駆だ。歳は16の高校生。1年生だ」 俺の名前を聞いたウリエルはまず一礼する。 「駆さん。私は智天使ウリエルです。まだまだ駆け出しの新米ですが、しばらくの間よろしくお願い致します」 そのウリエルの自己紹介に俺は首を傾げる。 「智天使、って結構階級の高い天使じゃなかった?なのに新米なの?」 階級の高い新米とかおかしくないか?いや、その階級になってからまだ日が浅い、ということもありえるが。
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