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「……日菜子さんは本当に三浦さんから愛されていたんですね。絵を見ればそれがよくわかるわ」
「そうね。和史の日菜子さんへの想いは、確かに絵を見る者にも伝わって来るわ」
やはり私は、日菜子さんには到底敵わない。彼にとって私は、日菜子さんの代わりですらないのかもしれない。
その画集に収められた作品たちは、そう思わずにはいられないほど素晴らしいものばかりだった。
「私ね、初めて和史が描いたあなたの絵を見たとき、和史はまた日菜子さんを描くことにしたんだと思ったわ。でもあるとき気がついたの。あの絵のあなたには、日菜子さんにはない強さと優しさがある」
夏希さんは、私に何を伝えようとしているのだろう。日菜子さんの絵ばかりを集めた画集を見て打ちのめされていた私は、顔を上げ、夏希さんの言葉を待った。
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