斬掛 ‐キッカケ‐

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 時は戦乱の世。武士や武芸者と呼ばれる剣客達が己の刀に命を預け、文字通り(しのぎ)を削り合う殺伐とした時代。  諸国の領主達は領地の防衛、又は拡大のため、腕に覚えのある者達を雇い、雇われた側も名声を上げようと戦事(いくさごと)を繰り返す。  そしてとある国にもまた、剣豪と崇められる凄腕の四人の剣客達がいた。  文字通り竹をも割るその豪腕で、どんな相手も一刀両断に斬り捨てる。通り名は『刹断貴(せつだんき)』。抜点丸(ばってんがん)流、“三和元雅士(みわもとまさし)”。  戦場を蝶のように舞い、華麗に標的を仕留めるその姿は蟷螂(かまきり)の如し。通り名は『剣美狂(けんびきょう)』。岩打無(がんだむ)流、“榊地護郎(さかきじごろう)”。  その無垢な童顔に似合わず、目にも留まらぬ早業で熟練剣士達を意図も容易く討ち果たす天才少年剣士。通り名は『童神子(どうじんし)』。天斉伝然(てんさいでんねん)流、“蒼北桜志(あおきたおうし)”。  誰よりも血を浴びることを生き甲斐とする剣の鬼。通り名は『鬼血凱(きち○い)』。我流、“男鹿田雷蔵(おがたらいぞう)”。  彼等四人が組めば、正に敵無し。天下無双の呼び名を欲しいままにした。
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