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かわたれ時。それぞれ北と南と東と西から四人は上陸し、朝日が東の海より昇ると同時に生き残りをかけた果たし合いは幕を開けた。
日光が反射しキラキラと輝く波打ち際を歩く雅士の前に、長身の男が立ち塞がる。
「雅士よ。どうやらお前と雌雄を決する時が来たようだな」
「地護郎……」
背負った鞘からスラリと身の丈ほどある大太刀を抜き、構える地護郎。雅士もそれに応えるように鯉口を切り、キラリと白刃に日の光を反射させた。
「我等は剣に生きる獣。これも宿命」
「どちらが勝っても恨みっこ無し。いざ、尋常に参る!」
同時に波を蹴り、目の前の宿敵へ立ち向かっていく。
風斬り音が鳴り、互いの剣が交差。両者は背中合わせに静止した。
やがて、一人がグラリと体を傾けた。
「……見事」
打ち寄せる波にさらされたのは、地護郎だった。
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