第2章

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「……はい。 心配ありがとう、お母さん」 花園家の1日はこうして始まる。 母と私だけが暮らす、 少し古いけれど大きなお家。 広目の庭一面は草花が生い茂り、 それを褒められることが母の誇りだ。 私のその日の気分は、 朝に母が何と発言するか次第で決まると言える。 母との会話は気が滅入る。 いつもそうだと言うわけではない。 ただ、子どものときは感じなかった、 些細なことが今はいちいち背中にのし掛かってくるのだ。 抑圧されている。 そう強く思う。 そのせいか、 何気ない会話をするのも億劫に感じ始めている自分がいる。 5つ年の離れた姉が高校卒業と同時に家を出て行ったときから、 私への締め付けは明らかに強くなった。
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