第2章

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私の姉は頑固で逞しくかっこいい人だから、 男性との付き合いはもちろん、 不謹慎と思えば女の子同士の関係にも口を出す母に辟易していた。 何よりも亡くなった父を非難し続ける母を嫌っていた。 「家を出るなら大学へは行かせない」 そう言った母に「自力で行きます」と宣言した姉は、 安くて古い寮に入った。 鬼のようにバイトをして奨学金を貰いながら大学に通い、すでにその返済も済んでいるという。 姉は私と一緒に外食などで会うことはあるけれど、 あれから1度も実家に帰ってきていない。 きっと母に連絡すらしていないだろう。 そのことを私から母に触れるのは墓穴を掘るようなものなので、 家庭で父と姉の話題はタブーになった。
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