DAY 2

15/30
前へ
/30ページ
次へ
征司はカチューシャをつけた僕をじっと見つめると 分かりやすい――かすかに頬を染めた。 「今……なかなか可愛いと思ったでしょう?」 「だ、誰がっ!」 「素直になりましょうよ。はい、お兄様の分」 僕が再び ねずみのカチューシャを被せようと試みると 「いや、待て!」 往生際の悪い王様。 それをなんとか両手で制して言った。 「俺がやるからには――もっとふさわしいものでないといけない。いいか?俺は天宮家の当主だ。分かってるな?そんなものを被るわけにはいかないんだ」 「……だったらどうするおつもりですか?」 「そうだな」 征司は胸元の細いタイに手をやると 咳払いして神経質そうにあたりを一瞥した。 そして 「よし、あれならいい――」
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

69人が本棚に入れています
本棚に追加