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「さあ。ま、パークに馴染めたみたいでよかったですね」
「そう、なのか……?」
腑に落ちない顔で僕について来る。
「何がおかしい?」
「いえ」
「今笑ったろ?」
一歩外の世界に出てしまえば
我が家の王様もこんなに可愛いんだ。
「笑ったのは楽しいから」
僕は振り向いて征司の手を引く。
「僕ら――なんでもっとこういう時間を作らなかったのかって」
イルミネーションの灯ったお城の前で
僕らはじっと見つめ合う。
精悍な王子様が口端で笑って言った。
「こうなるからだろうな――」
いつの間にか
周りには人だかりができていた。
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