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「今日は随分お暇なんですね?」
午後のお供は軽めのソーヴィニヨン・ブラン。
グラス越しにこちらに目をやり征司はのたまう。
「まったく――この俺が休日におまえと2人取り残されるなんて世も末だ」
客人の来訪の予定が流れたことで
使用人たちもみな出払ってしまい。
もちろん他の忙しい兄弟たちが
僕みたいに1日家でくすぶっているわけもなく。
「そんなこと仰らないで、お兄様。世の中に僕らほど満たされた人間がどれだけいると思います?働かなくても死ぬまで食べていけて、昼間からゴロゴロして最高峰のワインを飲んでもまだ何がご不満?」
「チッ、偉そうに。俺に説教する気か?」
「めっそうもない。僕みたいに休日に予定もない暇人がお兄様に説教だなんて。ああ、それはお兄様も一緒か――」
結局征司はそれが気に入らないんだ。
分かってて僕はからかうように笑ってやる。
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