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しばらく車を飛ばすと
夜景の一望できる小高い丘。
征司は路辺に車を止めた。
「綺麗」
「ああ、そうさ。それに――」
遊園地のライトアップに引けを取らない夜景を見下ろし
「ここなら何をしても追い出されたりしないだろ?」
征司は自分の分と僕の分
ゆっくりとシートベルトを外した。
「今日1日は僕の願いを聞いて下さるんじゃなかったの?」
有無を言わせず助種席のシートを倒すと
征司は僕に覆い被さるようにして言った。
「ああ、そうさ――だから最後の願いを言えよ。ん?」
唇のすれすれで囁く。
憎らしい傲慢な笑みを浮かべて。
「あとは……お兄様の好きにして下さい……」
言わせるんだ。
結局は――。
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