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反論はない。
征司はグラスの白ワインに口をつけようとしてやめた。
「とにかく――退屈だ」
それから念を押すように言うと
無気力の波に襲われたみたいに
ぐんにゃりとソファーの肘掛けに身を預けた。
百獣の王が――機嫌の悪い猫みたいな顔して。
「やる事がないと死にたくなるな」
「お兄様」
「そもそも、なんでおまえは生きていられるんだ?」
「はぁ……?」
「毎日予定もやる事もないのに」
「ええ?そういう事言うんだ……」
しかし退屈は猫をも殺すという。
思った以上に事態は深刻だった。
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