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「その逆はないんですか?」
てっきりそれが狙いだと思っていたのに。
「なしだ」
王様ははっきりと宣言する。
「おまえが外したら――この退屈で俺が死ぬだけだ」
「はぁ……」
大袈裟なことだ。
でもま、自分に損はないならと。
「やりましょう」
僕は俄然やる気になった。
飛び起きて征司と面と向かう。
「オッケー」
魅惑的な唇が白い歯をのぞかせる。
この人は何でも思い通りにできるから
時々運を天に任せるのが好きなんだ。
「裏か表か――」
長い指がコインを弾くと
勢いよく弧を描きながらコインが宙に舞った。
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