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その衝撃で
コインは王様の手の中から転がり落ちて
ふかふかのカーペットの上
「裏だ!」
見事裏返しになって落ちたのだった。
「今のはなしだ!」
「そんなの通用するとでも?」
僕はいつになく慌てる王様の手から
裏返しになったままのコインを引っ手繰ると言った。
「男に二言はない、ですよね?お兄様」
それはそう。
いかにも天宮征司的な教訓で。
「ったく。なんて日だよ、今日は――」
頑固なプライドのかたまりが
それ以上四の五の言うわけにもいかず。
「で、望みは何だ?」
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