12 会えない日々

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 眞昼は最近まで、社長が本当の父親だったなんて知らなかった。  十七年間も別々に暮らしていたわけだし仕方がない事だが、同じ息子としてその立場の違いに愕然としてしまう。晃夜に会いたくても会えない状況下だからこそ、ネガティブな感情が前面に出てしまっていた。  秘書はもう話は終わったとでもいうように、パソコンに目を走らせ、カタカタと入力を始めた。 「ほんとに、一分でもいいので、お願いします!」 「……」  ――無視かよ!  かといって出直す時間が惜しかった。そのとき、バン、と奥のドアが開いた。 「もしかして、眞昼?」 「社長?」  秘書が驚いた表情で振り返った。 「こ、こんにちは! すいません突然来てしまって」 「わあ、ほんとに眞昼だ! パパに会いに来てくれたの? そんなところに立ってないでと入ってきてくれればいいのに~」 「いやでも、アポが必要だからって言われて……」  秘書の顔がビックリ顔になっていて、ちょっと面白かった。  社長は眞昼の傍まで来ると、ギュッと抱きしめてくれた。一瞬でネガティブな思考が霧散する。単純な自分に苦笑いを浮かべつつ、通常なら恥ずかしい行為も素直にありがたいと感じた。 「あ、あの社長……そちらの方は」 「この子は僕の大切な息子の眞昼。晃夜の兄だよ」 「えっ、晃夜さんの、お、お兄様!?」  驚き方が尋常じゃないから、わかってしまった。秘書の女性は晃夜に好意を持っているようだ。そして、やっぱり晃夜が社長の息子だというのは公然のようだった。
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